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東京高等裁判所 平成3年(ネ)4424号 判決

控訴人(原告)

日下部清人

ほか二名

被控訴人(被告)

山藤貴浩

ほか一名

主文

本件各控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人らは、控訴人ら各自に対し、連帯して各二〇〇万円及びこれに対する被控訴人山藤貴浩につき平成二年四月二七日から、被控訴人共栄火災海上保険相互会社につき平成二年七月二八日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え(控訴人らは、当審において、請求を右の限度に減縮した。)。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

4  仮執行宣言

二  被控訴人ら

主文と同旨

第二当事者の主張

以下に記載するほかは、原判決事実欄第二の当事者の主張に記載のとおりである。

1  原判決三枚目裏三行目の「栄吉の逸失利益 九三一万九四六四円」を「栄吉の逸失利益 八六五万八三八四円」と、同八行目の「賃金センサス平成元年」を「賃金センサス平成二年」と、同九、一〇行目の「三二八万円を一・一倍した三六〇万八〇〇〇円」を「三三八万八八〇〇円」と、同四枚目表一行目の「三・六九年」を「三・六五年」と、同二、三行目の「九三一万九四六四円」を「八六五万八三八四円」とそれぞれ改める。

2  同四枚目表三行目の「となる。」の次に「そのほか、栄吉は家事労働にも従事していたものであるから、賃金センサス平成二年女子労働者産業計・学歴計全年齢平均の平均賃金額二八〇万〇三〇〇円を基礎とし、生活費控除率及び就労可能年数を右同様として家事労働分の逸失利益を算定すると、七一五万四七六六円となる。以上二つの逸失利益を合算したものが栄吉の損害であるが、それぞれを更に控え目にみるとしても、八六五万八三八四円を下ることはない。」を加える。

3  同五枚目表一一行目から同裏五行目までを「4 本件事故について、仮に栄吉の側にも過失があつたとしても、その過失割合は〇・五ないし一割を超えるものではない。よつて、控訴人らは、被控訴人らに対し、連帯して右損害の内金として各二〇〇万円及びこれに対する被控訴人山藤につき本件事故の日である平成二年四月二七日から、被控訴人共栄火災につき請求の日の翌日である同年七月二八日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による遅延損害金を支払うことを求める。」と改める。

第三証拠関係

本件記録中の書証目録及び証人等目録記載のとおりである。

理由

一  当裁判所も、本件請求は理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は、以下に記載するほかは、原判決理由欄に記載のとおりである。

1  原判決七枚目表五行目、同九枚目裏三行目、同一〇行目の「原告日下部章人本人尋問の結果」の次にそれぞれ「(原審)」を加える。

2  同九枚目裏九行目の「栄吉の逸失利益 〇円」を「栄吉の逸失利益 六八万〇八〇〇円」と改める。

3  同九枚目裏一一行目から一〇枚目表一行目までの「同本人尋問の結果」の次に「(原審及び当審)」を加え、同二行目の「焼芋屋を営んできたが、」から同八行目までを「焼芋屋を営んできたものであり、本件事故当時、控訴人日下部清人及び同日下部章人に扶養されていたものの、健康であり、冬季を中心に七か月間くらい、三日ないし四日に一日の割合で焼芋の屋台を出して稼働し、得た収入を生計の一部としていたことが認められ、具体的な収入額は定かでないものの、経験則上、純収入は稼働一日につき平均五〇〇〇円を超えることはなく、年間稼働日数を七〇日としても、純収入は年間三五万円程度を超えないものと推認される。そして、平均余命等からして、栄吉は、本件事故がなければ更に三年間は右のとおり稼働できたものとし、その間、三五万円の収入のうち一〇万円程度は生活費に充てられるものとみてライプニツツ方式により中間利息を控除して栄吉の逸失利益を算出すると、六八万〇八〇〇円となる。」と改める。

4  同一〇枚目表一〇行目の「賃金センサス平成元年」を「賃金センサス平成二年」と、同一一行目から同裏一行目までの「三二八万円を一・一倍した三六〇万八〇〇〇円」を「三三八万八八〇〇円」と、同二行目から三行目までの「本件事故当時栄吉がどの程度の収入を得ていたかを認めるに足りる的確な証拠はないのであるから、」を「栄吉の焼芋屋としての現実の収入は年間三五万円程度を超えないと認められるのであるから、」と、同五、六行目の「右認定の事実は、これを慰謝料算定の際の一事情として斟酌することとするのが相当である。」を「控訴人らの主張は採用できない。」とそれぞれ改める。

5  同一〇枚目裏五行目の次に行を改めて「控訴人らは、右逸失利益のほかに、栄吉の家事労働分の損害がある旨主張するところ、控訴人日下部章人本人尋問の結果(原審及び当審)によれば、栄吉は、本件事故当時、妻がなく、独身である控訴人日下部清人及び同日下部章人と同居して気ままに暮していたものであり、炊事や洗濯などをしていたことが認められるが、金銭的に評価するに値するほどの家事労働に従事していたとまで認めるには十分ではなく、それについての逸失利益を認定することはできないものというべきである。」を加える。

6  同一〇枚目裏六行目の「慰謝料 一四〇〇万円」を「慰謝料一六〇〇万円」と、同一〇、一一行目の「合計一四〇〇万円」と「合計一六〇〇万円」とそれぞれ改める。

7  同一一枚目表二行目の「右3の損害賠償請求権」を「右2及び3の損害賠償請求権」と、同六行目の「五〇〇万円」を「五八九万三六〇〇円」とそれぞれ改める。

8  同一一枚目裏六行目の「栄吉」から同八行目までを「その過失割合は三割を下らないと認めるのが相当である。」と、同一〇行目の「二五〇万円」を「多くても四一二万五五二〇円を超えない」とそれぞれ改める。

二  よつて、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤繁 岩井俊 坂井満)

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